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2021年3月号『春の光』

春の光

三月。うららかな日和(ひより)が増えてきました。やわらかな、あたたかさの中にいると、少しだけうきうきするような気持ちになります。コロナに翻弄されつつも確実に季節は移ろいでいるのがわかります。

 うららかの「うら」とは古くは「心」をあらわす語でした。心を二つ重ねた「うらうら」が変化してうららかとなった由来があります。心の中にわだかまりがない、心そのままのありようがうららかのもともとの意味です。

 春うららとは心がのびやかになって小躍りするような気持ちになることに合点がいきます。

法然上人はこの春の日差しを阿弥陀佛が放つ光に(たと)えて「さへられぬ光」とお示しになりました。(さえぎ)ることのできない光です。明るい()の光と同様に仏さまの光も遮るものなく私たち一人一人に届いていることをお示しされたのです。

お経にはこうあります。

 

この光に()う者は、(さん)()消滅し(しん)()柔軟(にゅうなん)なり。歓喜(かんき)踊躍(ゆやく)して善心(ぜんしん)(しょう)ず。

 仏さまの光に照らされると(むさぼ)り、怒り、愚かさ((さん)())が消えて身も心も穏やかになって嬉しく踊りたくなり、さらに善い心が生まれてくる、と説かれます。

私たちの日暮(ひぐらし)は思い通りにいかないことばかりです。しかしお念仏によって三垢が消えてゆくときがあるのならばどんなにか嬉しいことでしょうか。

もうすぐお彼岸が巡ってきます。春の好日に大切な方を想ってお念仏をお唱えください。こんな時だからこそ仏さまに包みこまれるようなご加護がいただけることと存じます。

今回も一堂に会しての中日法要は自粛といたします。ただしお中日にはご本尊前でお焼香をしていただけるよう準備をしておりますので感染対策の上お参りください。

行事自粛により檀家様方の交流の機会が失われています。そこで今号では紙面でのご投稿を特集しました。お念仏のご縁によりこのお寺に集うみなさま方の貴重なお声をお寄せいただきました。

さらに次号でもご投稿をお待ちしております。どなた様でもお寄せいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

住職 清譽芳隆

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