春彼岸
春のお彼岸は、春分の日を中心とした7日間がその期間です。
彼岸の中日には「中日法要(彼岸会)」という法要が営まれます。
「彼岸」とは、私たちの生きる迷いの多い世界(此岸)に対して、あらゆる苦しみや迷いのない世界、つまりさとりの事を指します。阿弥陀様の西方極楽浄土もしばしば彼岸に喩えられます。
浄土宗が拠り所とする経典の一つ『観無量寿経』には、西に沈む夕日を見つめその彼方にある極楽浄土に思いを寄せる「日想観」という修行が説かれており、春分・秋分の日は太陽が真西に沈むため、この修行に最も適した日といえます。法然上人が師と仰いだ中国・唐時代の僧侶、善導大師はこの「日想観」の修行を実践し、極楽往生の願いを新たにするよう人々に教えました。
極楽浄土には、阿弥陀様や観音様などのたくさんの聖者のほかに、先立たれた大切な方やご先祖様がいらっしゃいます。極楽浄土を想うことは、そこに先立たれた方々を想うことでもあるのです。そのため浄土宗で勤められる彼岸会は、自身の極楽往生を願う法要であると同時に、ご先祖様を供養するための法要でもあります。
お彼岸には、お寺やお墓にお参りに行かれる方も多いと思います。ぜひその際には、仏前や墓前で手を合わせ、お念仏をとなえましょう。極楽浄土とそこにいらっしゃる大切な方々とのご縁を育む機会となるはずです。