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2024年3月号『未来を信じて』

月訓カレンダー三月の標題です。

 春は別れと出会いの季節。卒業や退職、異動などで住み慣れた場所から去ることになります。離れたくない気持ちがある一方で、やっとこの嫌な場所と別れられるという安堵の思いの方もいるかもしれません。

 そして、入学、転職、転勤など新しい地での営みが始まります。どうか今まで以上によい出会いがあってほしい、よい境遇であってほしいと誰もが望みます。

 また、とうに現役は退いておられるご年配の方々も春の到来はいち早く感ぜられ気持ちがはなやぐようです。

春はどなたにとっても期待と不安が混沌としている季節ではないでしょうか。

さて、私たちは今までどれだけ春を迎えてきたのでしょう。そしてあとどれだけ春と出会うのでしょう。

冬来たりなば春遠からじ

必ず来る春を願っての故事ですが、私たちのこの世の命は限りがあります。

人の一生において、卒業式を葬儀式ととらえて入学式を極楽往生と(たと)えられないでしょうか。この世との別れはなにより怖くつらいことには違いありませんが、私たちには次の世界が約束されています。彼の地へ往生させて頂くことが入学式。そう考えると少し楽しくなります。

善導大師のお言葉です

人間悤々(そうそう)として(しゅう)()を営み、
年命の日夜に去ることを覚えず。
灯の風中にありて滅すること期しがたし。
忙々(もうもう)たる六道に定趣(じょうしゅ)なし。
いまだ解脱して苦海を出づることを得ず。
いかんが安然として驚懼(きょうく)せざらん。
おのおの聞け。強健(ごうこん)有力(うりき)の時、
自策(じさく)自励(じれい)して常住(じょうじゅう)を求めよ。
(意訳)
人間はあわただしく日常生活のさまざまな勤めをあくせくと営み、あっという間に月日が過ぎてしまうことをなんとも思っていない。
ローソクの火が風の中にあっていつ消えるともわからないように、次々と六道を生まれては死にを繰り返して、落ち着くところが無い。
いまだに苦しみの世界を出て、悟りの世界に到ることが出来ない。どうして、日々をぼんやりと過ごし、驚き恐れずにいることが出来ようか。
おのおのよく聞け。健康でいられる時、自らつとめ励んで、極楽を求めよ。

今月の標題の「未来」とは極楽浄土、そして「今日を励む」とは毎日のお念仏ととらえることができます。

お念仏をお唱えすることは仏さまのお名前を呼ぶこと。この私は無力で仏さまのお力なしでは救われない罪深い人間なのでどうかお助けくださいと願うこと。そんな気持ちでお唱えすれば不安は和らぎましょう。こんな私だけのために仏さまはいるのですから。

 もうすぐお彼岸が巡ってきます。

未来への思いを馳せて大切な方々へのご供養に励んで参りましょう。

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濱田由美
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14:08 05 Sep 21
地域に根ざしたお寺ですね。
Kunio Karaki
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20:23 20 Dec 20
素晴らしい仏像の安置ですね南無阿弥陀仏
リズ
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00:49 10 Aug 20
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08:46 13 Dec 19
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kaz a
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12:06 27 Sep 19
イチゲンさんでも写経ウェルカムなお寺。よくある檀家以外お断り的な排他感はない。大して喜捨していないのに、お彼岸だからとお菓子をいっぱいくれた。木魚と南無阿弥陀佛程度は覚えていったほうがいいかも。
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